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第3章 『試練の章』

2017年8月 富士弾丸登山編

3-1 八合目山小屋群(3,100m~)

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八合目 太子館(3,100m)

聖徳太子の伝説が伝わる山小屋。ここからまた登山者の数が増加します。


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モヤが出てきたな・・・


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八合目 蓬莱館(3,150m)

モヤはすぐに晴れたが、上空にはまた別のモヤが発生。ここまで日差しの直撃を受け続けていたためモヤに覆われると気持ちいい。登りの時は景観は楽しめなくはなりますが多少ガスっているくらいの方が体力的にはありがたいところがあります。

蓬莱館を越えたあたりから、なんだか体が重くなったような感じを受ける。高地順応する間もなく一気にここまで上がってきた弊害が出始めたのかもしれません。そういえば今の標高はどれくらいだろう。北岳の高さは越えたのかな。


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こんな感じの登山道を延々と登る。ガイド付きの先行団体を追い抜くとき、そのガイドが「このあたりで北岳の標高を越えた、ここから先は一歩一歩が日本最高所を更新するようなもの」的な説明をしていたのが耳に入る。ああちょうどさっき僕も北岳の標高のこと考えていたんですよ、と心の中で思いながら団体を追い越す。いよいよここから先はもう日本には並び立つ山は存在しない領域に入ります。

※標高日本第2位の北岳(3,193m)にはこの2年後の2019年に登頂することになります。



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白雲荘(3,200m)             八合目 元祖室(3,250m)

さすがにこのあたりまで来るとキツイ。初めて腰を下ろして大休止します。・・・と書くとここまで休憩なしで登ってきたみたいですがもちろんそんなことはなく、随所で小休止を入れながら登ってきています。ただこれまでは一息ついたらすぐに登山再開していましたが、ここでは初めてどっかりと休憩モードに入りました。

そういえばここまで飲み物のことに詳しく触れていませんでしたが、登山時にバックに入れていたのは500mlペットボトルの飲みかけ(8割くらい入っていた)1本のみ。1-1プロローグで記載した「少しの飲み物」というのがこれ。飲み物は節約しながら登ってきましたが、この場所での大休止でついにすべて飲み切ってしまう。ここからは飲み水なしで戦わなければならない。。。

ちなみに今の私なら何よりも水分を重視して大量の水を用意してから山に向かいます。富士山なら最低2リットルの飲み物は持っていきたいところ。しかしこの時の私は荷物が重くなりすぎるのを回避するためにぎりぎりのラインを攻めていたようで、また途中の山小屋で売られている飲み物も馬鹿みたいに高くて購入する気はありませんでした。まあこの気持ちは現在の私から見てもわからんことはない。


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元祖室には食行身禄の話が伝わり、すぐ隣にある烏帽子岩のたもとが身禄入定の地であるとのこと。現地にある「山小屋ミュージアムパーク」という説明板に詳細が記載されています。



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元祖室の先には緊急脱出用として下山道への接続路が設けられています。吉田ルートは登りと下りで完全に分けられているためこのようなエスケープルートは貴重。状況によってはこちらの道を選択せざるを得ないこともあるでしょう。


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お父さんと一緒に小さな子も頑張って登っています。どこかの山小屋で泊まっていたので元気十分なのだと思いますが、段差のある山道を小さな体でぐいぐい登って行く姿を見るとこちらが元気をもらえます。そうしてきつい山道を登って行くと頭上に次の山小屋群の姿が。八合目の山小屋はさっきの元祖室がラストなので、いよいよ九合目に到着か。



3-2 本八合目(3,350m~)

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本八合目 富士山ホテル(3,350m~)

おおい!九合目じゃないんかい!!

はいお約束のをやりました。ほんとは手元にマップを持っていたので八合目の次に本八合目が来るというトラップは知っていましたが、知っていてもダメージはでかい。なにせ七合目から八合目までの距離よりも、八合目からここまでの距離の方が体感的には長く感じていたところでのこの仕打ちですから。何だよ本八合目って。知らずに登ってきた人は心が折れても不思議ではない。現に多くの人のレビューでこの「終わらない八合目」でかなりのダメージを負うというものを見かけます。

この辺りの事情について、「富士山には7合目、8合目がどうしていっぱいあるのか」というページに説明があったので以下抜粋します。

まずは、もっとも登山者の多い山梨県側の登山口、吉田口(河口湖口)から見てみよう。5合目から8合5勺(8.5合目)までに10以上の山小屋があって、各山小屋が「○合目」を名乗っている。だから、同じ合目がいっぱいあるのだが、特に8合目の場合、「8合目」と「本8合目」の2種類があってややこしい。両方合わせて、標高3020mから3400mまでの全部の山小屋が8合目なので、一番下の8合目から一番上の8合目まで、およそ1時間半かかる。

富士吉田市歴史民俗博物館に、そのあたりの事情を聞いてみた。
「戦前は(今の8合目付近が)7合3勺(7.3合目)、7合5勺(7.5合目)などと細かく分かれていたのです。戦後、米軍の兵隊さんや普通の人が多く登るようになり、わかりやすくするため、上に繰り上げて全部『8合目』としました。戦前の『8合目』は今、『本8合目』となっています」
要するに、「本8合目」が昔ながらの8合目で、それ以外は元々、7~8合目の中間だったわけ。それらが全部「8合目」を名乗ることになり、長い長い8合目地帯ができたのだ。


なるほど、そういう事情があったのですね。現地には案内看板よりも古い時代に設置された石柱があるのですが、確かにそれにはより細かい位置が刻まれていました。っていうか米軍の兵隊とか一般人とか馬鹿にされすぎじゃね。


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本八合目の富士山ホテルは建物が複数に分かれており(上記図参照)、斜面に立ち並ぶ建物の間に登山道が入り組んでいて通過するのが少し楽しい。下の建物から上の建物までの標高差も大きいため、ここでの標高表記も3,350m~と幅を持たせて掲載しています(山小屋紹介ページでは3,400m表記)。



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ようやく八合目終点             本八合目トモエ館(3,400m) 

リアルに長かった八合目地帯もここでようやくラスト。そういえばトモエ館って七合目の2,740m地点にもありましたね(第2章参照)。同列経営のようです。ちなみにこの「本八合目」は須走口ルートとの合流点でもあり、これまでよりもさらに登山者が増加する地点となります。さらにエスケープルートを除くとほぼ唯一の下山口ルートとの接触点でもあり、体調や天候の不良で回復が見込めない場合はここで下山するかどうか最後の選択を迫られるという、なかなか重要な場所となっています。



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酸素あり〼                 この先荒天!?
  
ここより先は富士山頂上の浅間大社境内に入るようです。ここで酸素販売のPRがありますが、私も登山前に少し酸素関係のアイテムを検索したことがあったのですよ。そしたらいろいろな酸素グッズが売られていたんですね。酸素缶はもとより、酸素水だの酸素タブレットだの。酸素缶はまだわかりますが、酸素水ってどの程度効果があるのかはなはだ疑問。酸素タブレットに至っては、その錠剤一粒を摂取してどの程度の酸素が獲得できるのかと。どう考えてもゆっくり深呼吸でもした方が効果的としか思えませんが、プラシーボ効果もバカにはできないのでそれなりの需要はあるのでしょう。この時の私はすでに飲み水すらなくなって久しい有様ですので酸素関係のアイテムなど所持しているはずはありませんし買うつもりも毛頭ありませんが、現実に空気が薄くなっている中でこういう表示を見るとちょっと酸素缶欲しいなと思ってしまうのが正直なところです。

っていうか気が付いたら周囲はすっかり雲の中。本八合目胸突江戸屋から上を見ると山頂は完全に真っ白になっています。ちゃんとした装備を身に着けたレスキュー隊員っぽい人たちの集まりが話しているのを立ち聞きしたところ、この先は荒天になっているんだとか。ちょっとやばいか。


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霧に覆われた登山道を再出発。ついさっきまで半袖で暑い暑い言ってたのに、日が陰ったらまず長袖着用、そしてここでは軍手と、ついにジャンバーも着用。山の天気は変わりやすいというがほんとですね。こんなの使わないだろと思いつつ念のため一番うっすいジャンバーを持ってきたわけですが、これがなかったらこの後どうなっていたかわかりません。



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八合五勺 御来光館(3,450m)

富士山頂に最も近い山小屋。これだけ登ってきてまだ九合目に着かないのか・・・と再び軽くショックを受けるポイントでもあります(笑)。なんかうつろな人やぐったりしている人が目につきます。高山病症状が出ている人たちでしょうか。
防寒装備がしょぼいせいか休んでいると寒くなるので体が冷える前に即出発。



3-3 嵐の九合目

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御来光館を過ぎるといよいよ山頂まで休憩スポットはありません。濃い霧に加え風も強くなってきた中、赤茶けた山肌を黙々と登っていきます。登山道沿いには横たわったままピクリとも動かない登山者もいたりして心配になりますが、私自身睡眠不足+高地順応せずの序中盤のハイスピードの登りのせいで体調に異変をきたしています。非常に息苦しい。ここまで来ると自分にできることは自分自身の心配をすることしかありません。

前方にはフル装備の登山者の姿が。その人を目標にして一歩一歩踏みしめながら登っていきます。あの棒(トレッキングポールのこと)いいなあ。



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こんな過酷な環境の中、背後から凄まじく速いペースで追い抜く人現る。スポーツタイプの女性だ!中盤の若い男性・壮年のアスリートおじさんに続き3人目のハイスピード登山者。実際はこの3人以外にも途中で休憩したりしている間に抜き返されたりしている人もいるでしょうが、あくまで自分の印象に残っている抜かされた人ということで。しかしアスリートタイプの人の装備の軽量化っぷりはほんとすごいですね。大量の装備を担いで登る人の体力は凄まじいと尊敬の念を抱きますが、私はそこまでの体力はないのでむしろ無駄を極限まで省いた軽量スタイルを追求すべきなのかもしれません。

風はますます強まり、顔面にピシピシ何かが当たってきます。舞い上げられた砂っぽいです。鳥居が見えたあたりの光景はこの天候と相まって荒涼感が半端ありません。

そしてついに・・・


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九合目(3,600m)

待ち望んだ九合目に到着!ここから山頂までは400m。これまでの道のりを思えばあとほんのちょっとですが、上の様子がまったく見えないので実感はなし。それどころかこの場所でこれまでで最大級に風が強まり、立っているのも厳しくなったので登山道わきに倒れ込むように避難。


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五合目からかぶっていた麦わら帽子は八合目のあたりでナップサックに入れ、代わりにニット帽をかぶっていたのですが、そのニット帽も風に飛ばされそうで終始頭を押さえていないといけない状況。顔には砂じゃない固い何かがぶつかってきます。これは・・・ヒョウか!?気温も下がり止まっているとすぐに体が冷えてきますが、とても動ける状況にありません。ほかの登山者の姿も見えないということは、みな立ち止まって動かずにいるのでしょう。このまま天候が回復しなかったらどうなるのだろう。まさか、遭難ってこういうことなのでは・・・この時初めて身の危険を感じました。


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KD

Author: KD
由緒ある建造物、急峻な山城、遺構の残っていない平地城館、考証無視の模擬天守、すべて等しく探訪対象。一番好きな瞬間は超マイナーな城館で城址碑や標柱を見つけたとき。
© 2010 城館探訪記

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