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宇和島城③ ~空角の経始(あきかくのなわ)~

天守を退出。続いて本丸・二之丸の北側下にある城山郷土館へ。



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城山郷土館

この場所は藤兵衛(門)丸と呼ばれる郭で、周囲には矢倉が建ち並んでいました。
左の建物は山里倉庫。もとは弘化2年(1845) に三之丸内の調練場(現宇和島郵便局)に建てられた武器庫で、昭和41年に伊達家より譲渡され、現在地に移築し郷土館として一般公開されています。



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穂積陳重・八束兄弟の生家長屋門

明治の碩学穂積兄弟は旧宇和島藩士の出生である。父は穂積重樹、陳重(1855~1921)はその二男、八束(1860~1912)は三男である。兄弟とも法学博士、東京帝国大学教授として日本の近代法学の開祖的業績をあげた。陳重の専攻は民法で「法律進化論」「五人組制度論」など、八束は憲法を専攻「憲法大意」「憲法提要」など兄弟とも著書は多くいづれも古典的名著の評価が高い。兄弟は法学者である一方、政治的要職に就き、陳重は帝国学士院長、枢密院議長、八束は貴族院議員宮中顧問官などを歴任した。特に陳重は男爵を授かっている。
この長屋門は兄弟が幼年期を過ごした当時の建物である。後、物部氏の所有になったが、昭和46年秋、当主重樹氏から史的遺構として宇和島市に寄贈された。
(説明板参照)




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郷土館へ。この日は宇和島偉人展という特別展が開催中で、展示パネルも新しいものが多く、なかなか見ごたえありました。「宇和島と文学」のコーナーでは、徳冨蘆花・井上靖・司馬遼太郎・松本清張といった著名な作家が宇和島を舞台とした作品を残していることについて紹介しており、特に歴史小説の作家たちにとってはこのまちは魅力的であったようです。
入場無料ですが、有料でもいいほど。



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宇和島藩8代藩主・伊達宗城

幕末四賢侯の一人として名高い。詳細はリンク先参照のこと。



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雷門跡

藤兵衛丸を出てすぐのところにある門。下からの登城路がクランクする場所に設けられており、藤兵衛丸からの横矢も合わさって守るに適した場所に設置されています。

マップを見るとこの場所から南側の代右衛門丸につながっているように描かれ、実際現地にもそちらへ延びる道がありましたが、ネットが張られ通行止めになっていました。現在整備中のようです。



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雷門跡から降りていきます。右手は藤兵衛丸の高石垣。



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城址碑発見

写真石垣の上が藤兵衛丸で、石段を登った先が雷門跡。



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雷門跡から降りて来た先の平場は長門丸。城山の中腹に位置し、城山内では最も広い郭。現状は公園広場と配水池になっています。

城内に配水池があるケースとしては名護屋城和歌山城などもそうでしたが、ある程度の高所にあり、かつ適当な広さの平場があるという点で、こういった場所が候補地に挙がりやすいのかもしれません。

マップによると配水地の南側に長門丸門があったようですが、特に痕跡は残っていません。



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本来の登城路ではない作業用通路が設置されています。先ほど向かうことができなかった代右衛門丸方向へ続いているようです。



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その代右衛門丸石垣を下から眺める。マップにもこの場所の石垣は強調されて描かれており、城山内でも本丸石垣に匹敵する規模であったようです。



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代右衛門丸石垣と、その一段下の式部丸石垣。
マップには式部丸の奥に井戸があるように描かれていますが、立入禁止で確認できず。

北東側の登城路もそうでしたが、この南側の登城路も草木が豊かで、石垣も苔むしているものが多いです。緑に覆われた苔むした石垣群は、一種の「幽玄の美」を織り成しています。



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麓に近づいてきたところで、城の鳥瞰図付き説明板があります。この絵には現在存在しない矢倉なども描かれており、資料等に基づき将来的にはこの状態まで復元整備を行っていきたいようです。

最後はまっすぐに伸びる石段を下りて麓に到着。


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上り立ち門(市指定文化財)

城山南側の追手道口に位置し、天守と同じく江戸時代から現存している門です。武家の正門とされる薬医門形式を取っています。桁行3.6m、梁間2.1mをはかり、現存する薬医門の中では最大クラスです。屋根には伊達家の家紋瓦が葺かれていますが、建築的特徴と木材の科学分析の結果から、藤堂高虎が城づくりを手掛けた慶長の初め頃まで遡る可能性があり、国内最古クラスの薬医門となり得る、貴重な建物と言えます。(説明板より)


この門を撮影していたところ、どこからともなくおじいさんが現れ、この門についての解説を始めてくれました。特に頼んでもいないのですが、せっかくなので耳を傾けます。



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説明板やパンフレットに書かれていないことをいろいろ話してくれていましたが、詳細は忘れてしまいました(笑)
人の話は一瞬なので、メモとか取らないと正確な記憶は難しいですね。
上記2枚の写真に関する部分のことを力説していた記憶があります。

このおじいさん、話し終わるとまたスッといなくなってしまったが、ガイドの人だったのだろうか。
なかなか不思議な雰囲気の人でした。



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追手門跡の石碑

国宝というのは戦前のいわゆる旧国宝(現重文)。
「十万石には過ぎた門」「すこぶる大である」といわれるほどの大きな櫓門で、往時の古写真も残っています。
昭和20年7月の宇和島空襲により焼失。

場所は城山の南東の路地の一角にあります。言葉では説明しにくいですが、マップにも「追手門」の表示がありますので、その辺を探索すれば発見できるかと思います。


さて、タイトルにある空角の経始(あきかくのなわ)について。
以下wikiより引用。

宇和島城は、中世期にあった丸串城板島城)の跡に藤堂高虎によって築かれた近世城郭である。標高74メートル(80メートルとも)の丘陵とその一帯に山頂の本丸を中心に囲むように二ノ丸、その北に藤兵衛丸、西側に代右衛門丸、藤兵衛丸の北に長門丸(二ノ丸とも)を中腹に配置し、麓の北東に三ノ丸、内堀で隔てて侍屋敷が置かれた外郭を廻らせる梯郭式の平山城で、東側に海水を引き込んだ水堀、西側半分が海に接しているので「海城(水城)」でもある。

現在見られる天守などの建築は伊達氏によるものであるが、縄張そのものは築城の名手といわれた藤堂高虎の創建した当時の形が活用されたと見られている。五角形平面の縄張り「空角の経始(あきかくのなわ)」は四角形平面の城と錯覚させる高虎の設計で、現に幕府の隠密が江戸に送った密書(『讃岐伊予土佐阿波探索書』)には「四方の間、合わせて十四町」と、誤って記された。

高虎の発想は、城を攻める側は当然方形の縄張を予想して攻めてくる。しかし実際は五角形だから、一辺が空角になる。つまり、城を攻める側にとって、完全に死角になってしまい、攻撃は手薄になる。いわば、この一辺の空角は、敵の攻撃を避けられるとともに、敵を攻撃する出撃口ともなり得る。そればかりではない。この秘かな空角は、物資搬入口ともなり、城から落ちのびる場合の抜け道ともなる。これは守城の作戦上、効果は絶大なものといえるだろう。当時の築城術でこのようなからくりを用いた城は他にはなかった。

さらに宇和島城には本丸天守から、原生林の中を抜ける間道が数本あり、西海岸の舟小屋、北西海岸の隠し水軍の基地などに通じていた。宇和島城には「空角の経始」、間道、隠し水軍などの優れた高虎の築城術の秘法が、見事に生かされた城だったのである。




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宇和島市立歴史資料館に展示されていた絵図(再掲)

五角形をしていることは図から承知していましたが、そのような考えが秘められていたとは・・・
この五角形の縄張りは城下町形成にも大きく影響し、現在の宇和島の街並みにも色濃く名残が残っています。



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所在:愛媛県宇和島市丸之内1丁目
評価:★★★★☆

山上の縄張りは中世山城の空気を色濃く残し、山麓部については「空角の経始」という、縄張り好きにとっては大変興味深い城。作事・普請・展示物・歴史・景観の各面からも見ごたえあり、個人的にもかなりおすすめの城です。追手門についてはもったいなかったですね。現在城山部分の整備を続けているところのようですが、将来的には追手門や山麓部の堀の復元についても検討してもらえればいいですね。
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Author: KD
由緒ある建造物、急峻な山城、遺構の残っていない平地城館、考証無視の模擬天守、すべて等しく探訪対象。一番好きな瞬間は超マイナーな城館で城址碑や標柱を見つけたとき。
© 2010 城館探訪記

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